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2022年5月19日 (木)

売れっ子のダブルキャストが仇になった「千と千尋の神隠し」の一部公演中止

東京公演の後で大阪を経て博多公演中ですが、新型コロナウィルスで一部公演中止だそうです。久しぶりに追ってみます。劇場である博多座の発表からです。

最初は「一部公演中止(5/17)のお知らせ」。

※5月17日(火)11 時45 分掲載

お客様各位
2022年5月17日
株式会社博多座

舞台『千と千尋の神隠し』博多座公演
一部公演中止のお知らせ

平素より博多座にご愛顧を賜りまして、誠に有難うございます。
博多座5月公演『千と千尋の神隠し』につきまして、公演関係者の新型コロナウイルス感染症の陽性反応が確認されました。
つきましては、5月17日(火)12:00/17:00 の公演を中止とさせていただきます。
なお、5月18日(水)以降の公演につきましては、改めてご案内申し上げます。
ご来場を楽しみにされていたお客様には、大変なご迷惑をお掛けすることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。

<中止となる公演>
・5月17日(火)12:00 開演の部
・5月17日(火)17:00 開演の部

ご入場券をお持ちのお客様には払戻しを承ります。詳細につきましては、決定次第博多座HP にてご案内いたします。
また、5月18日(水)以降の公演に関しましては、改めてご案内申し上げます。
なお、個人のプライバシーにかかわるお問合せに関しましてはお答え致しかねますので、ご理解ご了承いただきますようお願い致します。

次が「一部公演中止延長(5/17~19)のお知らせ」。

※5月17日(火)15時30分掲載

お客様各位
2022年5月17日
株式会社博多座

舞台『千と千尋の神隠し』博多座公演
一部公演中止のお知らせ

平素より博多座にご愛顧を賜りまして、誠に有難うございます。

博多座5月公演舞台『千と千尋の神隠し』につきましては、既にお知らせしております通り、公演関係者の新型コロナウイルス感染症の陽性反応が確認されましたことから、急遽本日中止とさせていただきました5月17日(火)2公演に続き、5月18日(水)12:00と19日(木)12:00の公演をやむを得ず中止とさせていただきます。

ご来場を楽しみにされていたお客様には、大変なご迷惑をお掛けすることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。

<中止となる公演>

・5月 17日(火)12:00開演の部
・5月 17日(火)17:00開演の部
・5月 18日(水)12:00開演の部
・5月 19日(木)12:00開演の部

ご入場券をお持ちのお客様には払戻しを承ります。詳細につきましては、決定次第、博多座HPにてご案内いたします。

なお、5月19日(木)17:00開演の部以降の公演につきましては、5月18日(水)16:00以降に改めてご案内申し上げます。

なお、個人のプライバシーにかかわるお問合せに関しましてはお答え致しかねますので、ご理解ご了承いただきますようお願い致します。

そして本エントリーを書いている時点で最新の「今後の公演について」になります。

※5月18日(水)16時55分掲載

お客様各位
2022年5月18日
株式会社博多座
舞台『千と千尋の神隠し』博多座公演
今後の公演について

平素より博多座にご愛顧を賜りまして、誠に有難うございます。
博多座5月公演舞台『千と千尋の神隠し』につきましては、公演関係者の新型コロナウイルス感染症の陽性反応が確認されましたことから、5月17日(火)~19日(木)12:00開演の部を中止とさせていただきました。
公演再開に向けて、改めてその他の公演関係者全員のPCR検査を実施したところ、全員の陰性が確認されましたので、所轄保健所のご指導、また医療機関の監修もいただいて、関係者とも協議の上、5月19日(木)17:00開演の部から公演を再開いたしますが、やむを得ず5月22日(日)12:00開演の部、25日(水)12:00開演の部の2公演は中止とさせていただきます。
なお、24日(火)17:00開演の部と26日(木)12:00開演の部の千尋役は、橋本環奈に代わり上白石萌音が務めさせていただきますので、何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます。

当該公演を楽しみにお待ちいただきましたお客様には心よりお詫び申し上げますと共に、何卒ご理解の程心よりお願い申し上げます。

<実施する公演>
・5月 19日(木)17:00開演の部
・5月 20日(金)12:00開演の部
・5月 21日(土)12:00開演の部
・5月 21日(土)17:00開演の部
・5月 24日(火)12:00開演の部
・5月 24日(火)17:00開演の部【千尋:上白石萌音】
・5月 26日(木)12:00開演の部【千尋:上白石萌音】
・5月 26日(木)17:00開演の部
・5月 27日(金)12:00開演の部
・5月 28日(土)12:00開演の部
・5月 28日(土)17:00開演の部

<中止となる公演>
・5月 17日(火)12:00開演の部
・5月 17日(火)17:00開演の部
・5月 18日(水)12:00開演の部
・5月 19日(木)12:00開演の部
・5月 22日(日)12:00開演の部
・5月 25日(水)12:00開演の部

ご入場券をお持ちのお客様には払戻しを承ります。詳細につきましては、決定次第、博多座HPにてご案内いたします。

なお、個人のプライバシーにかかわるお問合せに関しましてはお答え致しかねますので、ご理解ご了承いただきますようお願い致します。

「個人のプライバシーにかかわるお問合せに関しましてはお答え致しかねます」と言われても、中止になった公演は全部橋本環奈の回ですから、陽性反応が出たのは橋本環奈ですね。事務所でも発表しています

2022.05.17
弊社所属 橋本環奈 新型コロナウィルス感染に関する御報告

弊社所属タレント橋本環奈が新型コロナウイルスに感染していることを確認いたしましたのでご報告申し上げます。
本日早朝から喉に変調をきたし声が出づらい状態であったのでPCR検査を実施した結果、陽性であることが確認されました。現時点での症状は幸いな事に軽症で熱も有りません。今後につきましては、保健所の指導に従い一定期間、療養及び経過観察いたします。

この状況を踏まえまして現在博多座にて上演中の「千と千尋の神隠し」についても本日からしばらくの間降板させて頂き、その後については体調、主催者等と相談の上、再度の出演日を決定し発表させて頂きます。公演を楽しみにしていらした皆様方、関係各位、日頃お世話になっております皆様方には御心配、御迷惑をお掛け致します事心よりお詫び申し上げます。

また以降の博多座における上演スケジュールについては博多座のホームページ等で御確認頂けますようお願い申し上げます。

2022年5月17日
株式会社ディスカバリー・ネクスト

新型コロナウィルスはどこでどうなるかわからないからしょうがない。クラスターを発生させたら目も当てられないので、正直に公表されるのはいいことです。養生してほしい。私が興味があるのはこういう決定のときに裏で関係者がどう動いたかです。

17日の早朝で体調が悪く、特急で検査して陽性。当日でどうにもならないから取急ぎ中止を決めて案内を書いて掲載。12時開幕(開場ではない)なのに案内掲載時刻がぎりぎりの11時45分なのが、読んでいるこちらまでドキドキします。劇場前でロビースタッフ総出でごめんなさい中止ですの案内もしていたかもしれません。あわせて関係者のPCR検査を手配ですね。

とりあえず他のダブルキャストを含めたPCR検査の結果が17日の十分早い時間にはまとめられなかったであろうことと、後述しますがおそらく水曜日は上白石萌音はとっさには動かせない仕事が入っています。そのための移動手配も考慮すると、あるいはスケジュールの連続ぶりを考慮して、18日と19日は無理であることが17日の昼にはわかって、その日のうちにこの19日までの公演中止を決定して調整時間を確保。

今は待機期間が短縮されて最短だと検体採取日を0日目として10日目まで待機です。橋本環奈が17日に検査して陽性なら27日まで待機になります。この間のキャスト表を見ると、17日昼夜に加えて、18日昼、19日昼、22日昼、24日夜、25日昼、26日昼が橋本環奈の回です。

上白石萌音の事務所は主催の東宝と同じ系列の東宝芸能だから、この中止回のうち22日以降の分をいろいろやりくりして、24日と26日は都合をつけたけど、22日と25日はどうにも動かせない、あるいはやりくりした都合を押込んだため、その2ステージも中止を決定。みたいな経緯と推測します。

ついでに書くと、博多公演はあと28日博多千秋楽昼が橋本環奈の回ですが、もともと27日昼と28日夜が上白石萌音の回なので、橋本環奈の症状が長引いたときのために27日昼の後も待機するよう上白石萌音のスケジュールを確保しているはずです。博多の次は6月6日から札幌ですが、さすがにそこまでには快復するでしょうから、今のところ万が一のシミュレーションだけやって予定通りでしょう。

公演スケジュールを調べていましたが、東京公演だとほぼ1ステージごとに上白石萌音と橋本環奈が交代で入っているんですよね。大阪も比較的そんな感じです。博多の後半、ちょうどこの週以降からは、月火水は橋本環奈が出演、木日は上白石萌音が出演、土は片方ずつ出る、金はその時次第、みたいになってきます。札幌の後の名古屋も、博多の後半スケジュールに似ています。

推測の推測ですが、制作側というか事務所側は稽古からGWまでが芝居優先期間の一区切りで、そこからあとは芝居以外の仕事を入れられるようにスケジュール調整していたのだと思います。売れっ子に4か月も舞台に専念させたらあがったりですし、映像の仕事だとあまりスケジュール調整に無茶は言えない。だから移動も考えて何曜日か固まる形でスケジュールを割振っていたら、それが仇になったのでしょう。

ダブルキャストやトリプルキャストは、複数役者の組合せで役者狙いの客の範囲を広げたり、別キャスティングを見たくなるリピーターを狙うという営業上の理由が第一です。でも、ひとりがダウンした場合の代役を用意する制作上の狙いもあります。ところが今回は売れっ子同士をひとつの役にあてた。ツアーでプレビューから4か月以上も公演する芝居の主役だから営業上そうせざるを得ない。あるいはそのくらい長期公演にしないとペイしないくらい原作の存在感が大きい。やっている側がわかっていないわけはなくて、そこはリスクを天秤にかけて決めたけど現実化してしまった。挑戦して前向きに転んだとはいえ、制作の苦労は果てないものです。

橋本環奈はここまでCMと映画でがっつり働いていますが今年はテレビのレギュラー1本なので、今後も見据えて初舞台挑戦にスケジュールを確保していたと思いますが、うまくいかないものです。

そして上白石萌音のスケジュールを調べてみました。

朝ドラは、2021年3月末から朝ドラ「カムカムエヴリバディ」クランクイン、2021年12月末までに同クランクアップ、2022年2月中旬に追加撮影、でした。

舞台は2022年2月28日から7月4日まで「千と千尋の神隠し」だから、この稽古がおそらく1月終わりからです。その直後に東京、大阪、東京の順で8月14日から8月31日までミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」。日程を考えるとこの稽古が「千と千尋の神隠し」の千秋楽直後からになりますが、歌の稽古は早めに始めているかもしれません。

なのに音楽ライブ「yattokosa」がそのミュージカル稽古期間のはずの7月16日、7月21日、8月6日、8月11日に4ステージ、順に沖縄、北海道、岡山、東京と入っています。音楽ライブがどのくらい事前稽古するものかわかりませんが、芝居の稽古と並行でこれをやるのはすごい話です。

さらに並行してテレビで毎週レギュラー放送の1時間番組「世界くらべてみたら」でMCをやっていて、もうひとつ5分番組だけど「風景の足跡」のナレーションもやっています。調整の付かなかった日曜日か水曜日にはこれらの収録が入っていたものと推測されます。おそらく水曜日が収録のために固定確保されています。日曜日は後ろの日程を見る限り固定確保されているわけではないので、何かCM撮影のような単発だけど動かせない仕事だったのではないでしょうか。

つまり2021年3月末から2022年8月末まで1年5か月ほぼ休みなしです。これぞ売れっ子スケジュール。新型コロナウィルスにかかっている暇がありません。この後は2023年3月と4月にミュージカル「ジェーン・エア」があることが公開されています。稽古がおそらく2月から。ミュージカルだと歌のレッスンでもう少し稽古が早くなるかもしれない。となると2022年9月から12月まではレギュラー番組を除いて休養期間になりそうですけど、何か仕事を入れるにはちょうどいいですよね。冬の連ドラとか年末の舞台とか。未発表の仕事がなにか隠れていそうですが、はたして如何に。

ここまで書いてきて気になったのは、これが新型コロナウィルス前だったらどうなっていたのかです。おそらく橋本環奈が点滴を打って予定通り上演だったでしょう。そして今もし上白石萌音が過労になったら、やっぱり点滴を打ってショーマストゴーオンでしょう。新型コロナウィルスにかかったほうが労わってもらえるという、なんだか不思議な形です。他に労わってもらえる状況としてはメンタルがやられた場合くらいしか思いつきませんが、その場合はまとめて降板でしょう。神経の太さも含めて、芸能界はやはり体力勝負です。

2022年5月12日 (木)

子役にはなかなかハードな「SPY×FAMILY」のオーディション

「SPY×FAMILY」面白いですよね。みんな考えることは同じなので東宝でミュージカル化されることになりました。個人的には「SPY×FAMILY」は文楽でいろいろ無茶やったら面白いだろうなと漫画を読みながら考えていましたが、さすがに舞台化が先でした。

で、アーニャ役をオーディション募集していました。なかなかハードなので記録しておきます。

応募条件

●次の稽古および公演に参加可能なこと
<稽古> 2023年1月中旬~2月下旬
<公演> 2023年3月(帝国劇場)
2023年4月~2023年5月(地方公演)
※公演日程詳細は、公式ホームページをご覧ください
●年齢は問わないが、身長が70cm~100cm程度(身長制限についてはあくまで目安です。応募前後での成長も加味しますので、現時点での身長が10cm程度前後しても問題ございません) で、演技、歌唱、ダンスが得意であること

応募方法

①プロフィールの提出
・プロフィール(氏名・年齢・身長・体重・経歴/芸歴・音域)
・バストアップ写真+全身写真各1枚
を、併せて全体でA4用紙2枚以内にまとめたデータをご用意いただき、下記アドレスまでメールで送信して下さい。

プロフィール送付先メールアドレスXX@gmail.com

②自己紹介動画の撮影・アップロード
自己紹介動画(30秒~1分以内)をYouTubeにアップロードして下さい。

*お顔がよく見えるアングル・明度で撮影をお願いします。
*歌の場合はマイクとの距離をできれば1m以上とってください。
*公開範囲は、必ず「公開」または「限定公開」の設定にしてください。
*なりすましや映像・音声の加工は固くお断りいたします。

③エントリー
応募者の基本情報と、②でご用意いただいたYouTubeのリンクを下記URLよりご入力ください。

*複数人まとめてご応募される場合には1回で10名までまとめてご入力いただけます。
*動画が正常に再生できるか必ずご確認の上、入力してください。

応募者基本情報エントリーフォーム

応募締切
2022年6月17日(金)23:59〆切

合否の結果は、書類審査を通過された方にのみ、2022年6月27日(月)までに連絡致します。
書類を通過されますと、2022年8月6日(土)、7日(日)、都内にて実施予定の実技審査に進んでいただきます。
実技審査に通られた方は、9~10月に、ワークショップ形式のレッスンにご参加頂き、11月の最終オーディションに進んでいただきます。
ご応募に際してご承知おきください。

*9~10月のレッスンにつきましては、実技試験を通られた方にのみ、詳細をご連絡差し上げます。

書類選考の段階ですでに動画が入るのが今どきだなと思います。ただ書類の送付先がGmailなのと、動画のアップロード先がYouTubeなのが、さらに今どきだと思います。割りきれば募集側の受付体制は無料で作れますねここら辺。複数人まとめて応募の規定があるのは児童劇団とか子役スクールの応募を想定しているのでしょうか。

書類が通過したら8月の頭に実技審査。ここは夏休みだからまあいいと思いますが、そのあと9月10月にワークショップ形式のレッスン。これは週末なのか平日放課後なのか。それが終わって11月にやっと最終オーディション。コロナに備えてダブルキャストトリプルキャストくらい採用しそうですが、それでも狭き門なのは間違いありません。

合格したら稽古が1月中旬から2月下旬、つまり3学期の間ずっと稽古です。脚本で出番の量は調整するとしても、アーニャだったら漫画なら主人公の1人ですから、すっぽかすわけにはいきません。で、春休みの3月が本番、で終わらずに4月5月にツアーです。

学校休んでも構わないという親を含めた体制が前提で、うっかりすると普通教育を受けさせる権利に抵触しそうなスケジュールです。世の中いろいろなのでその是非をここでは問いませんが、客も安からぬ木戸銭を払うのがミュージカルではありますから、その場に立つためにこのくらいの努力が要求されるという一例です。

ちなみにキャスティングはまだ発表されていませんけど、誰が来るでしょうか。ミュージカルには疎いので、雰囲気でロイド役に浦井健司、ヨル役に松たか子、ユーリ役に藤原竜也とか言っときます。注目は夜帷役ですけど、宝塚男役出身者から誰かが起用されると予想します。す。

アナウンスが丁寧な片岡仁左衛門休演

松竹「歌舞伎座『六月大歌舞伎』第三部 片岡仁左衛門休演のお知らせ並びに第三部演目変更のお知らせ」より。

2022年5月12日

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
歌舞伎座「六月大歌舞伎」第三部『与話情浮名横櫛』の与三郎に出演を予定しておりました片岡仁左衛門ですが、頭皮における帯状疱疹(たいじょうほうしん)が発症し、舞台に立つのに必要なかつらを掛けることができず、休演させていただきます。その他の体調に関しては問題ございません。

それに伴いまして、下記の通り「六月大歌舞伎」第三部の演目・出演者を変更して公演いたします。

◆歌舞伎座「六月大歌舞伎」第三部
【6月2日(木)~27日(月)午後6時開演 休演9日(木)、20日(月)】

有吉佐和子 作
『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
芸者お園 坂 東 玉三郎
通辞藤吉 中 村 福之助
遊女亀遊 河 合 雪之丞
岩亀楼主人 中 村 鴈治郎

何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます。
皆様には、大変なご心配とご面倒をお掛けしますこと、深くお詫び申し上げます。

最初に休演って見たときにどきっとしましたから、わざわざ「その他の体調に関しては問題ございません」って書くあたり、わかってますよね松竹も。3月に途中休演したばかりですし。

帯状疱疹は過労とストレスが原因でしょうか。3週間では治るか微妙なところで、思い切って休んで養生してください、ってなもんです。

2022年5月 7日 (土)

新国立劇場主催「ロビー・ヒーロー」新国立劇場小劇場

<2022年5月6日(金)夜>

ニューヨークのアパートでロビー駐在の夜勤警備員として働くジェフ。毎晩勤務を見回りに来る上司は真面目だが尊敬できる。毎晩のように勤務中にアパートを訪ねてくる警察官は住民の一人に入れあげている。そのパートナーとなった見習い中の女性警察官はそうと知らず頼れるパートナーに好意を寄せている。ある日上司の様子がおかしいのでジェフが尋ねると、弟が警察に逮捕されたといい、何かできることはないかと心配する。パートナーを待つ女性警察官には好意を知らずうっかり警察官が住民を訪ねる目的をばらしてしまい、警察官に睨まれる。

ネタバレを回避しつつ一言で言ってしまえば、論語の有名な一説。むしろ孔子がなぜああ言ったのかを現代のシチュエーションで描いた会話劇。もっと小さいところでは、言いたいけど言えないことが人にとってどれだけ辛いかを描いた話ともいえる。これが4人の会話量かというくらい台詞だらけで休憩込3時間弱の芝居だけど、後ろに行くほど引込まれる力作。

脚本上、上司役が黒人であることが最初はよくわからなかったこと(アメリカの上演なら黒人が演じるから問題にならない)を翻訳で調整できなかったかという願いと、これだけやったのにあのラストは緩くないかという点にツッコミはあるけど、それくらいどうってことないと言えるくらいの脚本だった。親世代の話が遠まわしに土台になっているのが上手い。

駄目な役も愛嬌があって憎めないので、どの役の立場に感情移入するかが観る人によって変わりそう。これは観た人の感想が知りたい。自分はおっさん組の立場に同情してしまった。

場面転換以外で効果音はあっても音楽がないにも関わらずダレさせなかった役者が大豊作。愛嬌のある表情と台詞回しにくにゃくにゃした動きでジェフを演じた中村蒼が、台詞を言っていないときの仕草も含めて目が引かれる。その愛嬌を際立たせるのが上司の板橋駿谷と警察官の瑞木健太郎の(役としてはぶれるけど)ぶれない役作り。見習い警察官の岡本玲は若干硬かったけど終盤の説得場面は素晴らしかった。

桑原裕子演出は久しぶりだったけど、ここまで仕上げて来るとは正直予想していなかったのでうれしい誤算。それを支えたのは万全にして安定のスタッフワークだけど、今回はアメリカ現代劇にも関わらず日本語として違和感をほとんど感じさせなかった翻訳を挙げておく。

2022年5月 3日 (火)

2022年5月6月のメモ

4月は見たい芝居があったのにいろいろあって坊主になった。ここでもう少し見ておきたい。

・新国立劇場主催「ロビー・ヒーロー」2022/05/06-05/22@新国立劇場小劇場(2022/05/01-05/02プレビュー):渋そうな会話劇を桑原裕子の演出で

・公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団主催「東西狂言の会」2022/05/07@三鷹市公会堂光のホール:よさそうな出演陣

・Mrs.fictions「花柄八景」2022/05/11-05/23@こまばアゴラ劇場:なんとなくピックアップ

・イキウメ「関数ドミノ」2022/05/17-06/12@東京芸術劇場シアターイースト:代表作のひとつ

・日本総合悲劇協会「ドライブイン カリフォルニア」2022/05/27-06/26@下北沢本多劇場:訳あってこれは何とかして観たい1本

・新国立劇場主催「貴婦人の来訪」2022/06/01-06/19@新国立劇場小劇場:有名な作品らしく粗筋からして面白そうなので奇をてらわない演出を期待

・松竹主催「与話情浮名横櫛」「ふるあめりかに袖はぬらさじ」2022/06/02-06/27@歌舞伎座:仁左衛門玉三郎の第三部、の予定が仁左衛門休演につき演目変更して玉三郎主演

・Bunkamura企画製作「パンドラの鐘」2022/06/06-06/28@Bunkamuraシアターコクーン:期待の高い座組ながら主演2人が不安材料という悩ましい1本

・鵺的「バロック」2022/06/09-06/19@ザ・スズナリ:新型コロナウィルスで見そびれた芝居が再演登場

・新劇交流プロジェクト「美しきものの伝説」2022/06/16-06/26@俳優座劇場:一度は観たいと願っている演目のひとつ

劇場への距離から見やすさから何から何まで、もうちょっと気楽に芝居と付合えるといいんですけどね。

<2022年5月12日(木)追記>

仁左衛門休演に伴う演目変更を反映。

2022年4月13日 (水)

宝塚の入学倍率の話

こんな記事を見かけました。デイリースポーツ「宝塚音楽学校 4回目で合格『信じられない』 元タカラジェンヌ名ダンサーの娘も」より。

 タカラジェンヌを育成する兵庫県宝塚市の宝塚音楽学校で30日、第110期生の合格発表が行われ、692人が受験し、17・3倍の難関を突破した40人が夢への切符を手にした。

17.3倍とは難関だなと思ったので、難関倍率話題でよく挙がる東大の入学倍率を調べてみました。今載っている最新情報が1年前の情報ですが、記事に合せて受験者数と合格者数で一番低いのが理科一類の2744人対1122人で2.45倍、一番高いのが理科三類の335人対98人で3.42倍です。

他に何かないかなと考えて、東京藝術大学の入学倍率を調べてみました。こちらは今年の情報がすでに載っています。志願者数と募集人員なので厳密には違いますが、一番低いのが音楽学部邦楽科の41人対25人で1.64倍、一番高いのが美術学部絵画科油画の951人対55人で17.29倍です。

つまり、藝大の最難関コースと宝塚音楽学校とで、倍率がほぼ同じです。

もちろん東大は優秀さでふるいにかけられたあとの受験者による倍率ですし、藝大だって芸術実技のコースは試験の時点で実技が一定以上できる受験者による倍率です。さらに宝塚音楽学校は入学時年齢が15歳から19歳なので対象年齢も違います。が、公開されている審査内容も第3次試験まであってなかなかの厳しさです。

・面接では、容姿、口跡、動作、態度、華やかさ等、宝塚歌劇の舞台への適性を審査します。
・歌唱試験では、課題曲の歌唱により、声量、声質、音程等を審査します。加えて新曲視唱により基礎的な読譜力を審査します。
・舞踊試験では、リズム感など基本的な運動能力や柔軟性、ならびに洋舞の適性等を審査します。課題は、当日試験場において本校生徒が模範演技を示します。

華やかさまで審査対象になる点は、筆記試験の東大や実技の比率が高い藝大よりしんどいとも言えます。それで受験のライバルが、ミス・ワールド・ジャパンのファイナリストや、親が宝塚の二世です。東大にも藝大にも二世三世はいるでしょうが、勝るとも劣らない難関と言えます。

音楽学校入学が40人です。そして今の宝塚は5組それぞれに70人強、それと専科で、ざっと400人です。途中辞める人もいれば長く活動する人もいて、在籍平均がざっと10年になります。最初の1-2年は慣れるところからでしょうが、通算10年活躍してもらわないといけない。そのための基礎をゼロから2年で叩きこむのは無理だし、芸能ごとで客から求められる華やかさは先天性によるところが大きい。それに応えられる人材を宝塚の芝居で魅了して引き寄せないといけない。

順調に回っているときはいいですが、駄目になったらとことん駄目になるシステムです。いきおい、音楽学校入学時点の重要性が高くなり試験も厳しくなろうというものです。

<2022年4月14日(木)追記>

全文引用するなと指摘が来たので記事部分を倍率の個所のみに削減。

2022年4月11日 (月)

新国立劇場バレエ団が見せたいろいろな支援の形

「アンチポデス」がプレビューに続いて初日も延期と聞いて新国立劇場の公式発表を見に行ったら、たまたま見つけました。「ウクライナ情勢の影響により帰国しているダンサーのクラスレッスン受け入れについて」より。

2022年4月11日

新国立劇場バレエ団は、ウクライナ情勢の影響により帰国している、プロフェッショナルとして活動中のバレエダンサーをサポートいたします。
大変難しい状況下におかれている方々への支援の一環として、バレエ団のクラスレッスンを提供させていただきます。僅かながら一助となれば幸いです。

ご希望の方は下記の内容をご覧いただき、下記のメールアドレスへご連絡ください。
募集内容
レッスン期間:2022年4月より 
スケジュール:平日10:00~12:00の間で75分程度
場所:新国立劇場 リハーサル室
お申込み先: buyo_fm@nntt.jac.go.jp へメールにてご連絡ください。
その他
※事前に連絡先や職歴などをご記入いただく書式、参加にあたっての承諾書をご提出いただきます。
※初回のレッスン前および定期的に実施する、劇場の指定するウイルス検査を受検いただきます。
※新型コロナウイルス感染拡大予防対応によるリハーサル室のスペースの都合上、定員になり次第お申し込みを締め切らせていただきます。

吉田都舞踊芸術監督よりメッセージ

バレエダンサーには毎日の基礎レッスンが欠かせません。ウクライナ情勢のために、急に拠点を離れ稽古場を確保しなければならない状況に置かれたダンサーたちに、バレエ団のクラスレッスンを受けていただきたいと思います。私自身もイギリスを離れ日本でフリーとして活動することになった時に、スターダンサーズ・バレエ団のクラスレッスンに参加させていただき、大変有難く思った経験があります。

新国立劇場バレエ団にできることはどういうことか、考え続けています。少しでも辛い思いをされているバレエダンサーの力になれるよう、これからも動いてまいります。

ウクライナ関係者に直接支援するのではなく、自分たちの守備範囲にある巻きこまれた人達に、無理のない形で間接的に支援を提供するのが、何というかその、いいですよね。「帰国している」とあるので邦人メインかと思いますが、ウクライナ難民にもダンサーがいるかもしれない。そういうところにつながる可能性もある。

世間全般の各種支援の中では地味なほうに分類されるでしょうけど、国公立劇場にふさわしい活動です。侵攻から2か月経っていないのに実現までもっていった芸術監督および関係者の努力が報われますように。

2022年4月 6日 (水)

表現の自由は他人の自由を含むか

走り書きです。

去年の年末にこんなことを書きました。これはコンテンツ(あえて芸術とは言わない)を創る側の表現の自由についてです。

一番は自民党が参議院の立候補に漫画家を立てての表現の自由に関する話題です。ことさらに取りあげるのは、表現の自由なんて芝居関係者には自明のことと考えるのは早計だからです。もともと左翼的イデオロギーの強い舞台関係者の中に自民党大嫌いという人達が一定数いて、表現の自由より自民党嫌いを優先させるひねくれものが一定数出てくる可能性があります。私自身もその傾向がありますが、大義のために気に入らない奴のことを我慢するくらいなら、大義なんて蹴っ飛ばして気に入らない奴をけなすほうがいい、と思うことは度々あります。それが行き過ぎて、自民党を応援することになるくらいなら表現の自由をあきらめてもいいと言い出す関係者が出てこないか、比べられないものを比べて蹴っ飛ばす人が出てきてしまわないか、今からドキドキしています。出てこないことを願います。

ただ最近思ったのは、コンテンツに対する表現の自由は案外認められるのではないか、その代わりにコンテンツに対する評価を統一するような動きが出る可能性があるのではないか、です。この統一の対象とは、面白いつまらないの評価だけではなく、そのコンテンツの社会的立ち位置についての評価です。

例を挙げます。いまロシアをテーマにした新作芝居をつくるとして、ロシアを褒める内容の芝居だったとします。この上演は認められるとして、観客がロシアにも認めるべき点があると感想を書けるか。書いた瞬間に芝居と現実の区別がついていない間抜けという非難が飛んでこないか。

観客は芝居を観ての芝居についての感想であり、現実のロシアについては是々非々とわかっていたとしても、読者が多ければ非難は飛んでくるでしょう。むしろ芝居と現実の区別がついていないのは非難した側なのに。いわゆるクソレス、クソリプと呼ばれるものです。だからと言って感想への反応を止めるわけにはいきません。誤解する人間は一定数いるので、少なくとも読解力のある人間に誤解されないように書く努力を試みる必要があります。

一方で、コンテンツと呼ばれるものは鑑賞する側に影響を及ぼすことを志向するので、観客がロシアにも認めるべき点があると感想を書いたらガッツポーズですし、そこに非難の余地はありませんし、非難するべきでもありません。ただし、この時期にロシアをほめる内容の芝居を上演して穴だらけの設定だったら非難されるのは最初から覚悟しておくべきですし、木戸銭払った観客につまらないと感想を書かれたなら甘受すべきです。

表現の自由の定義は「やりたいことをやる」では片手落ちで、「自分にとって気に入らないことをやっていることを認める」まで含みます。もちろん程度問題であり、さすがに人殺しを認めろとまでは言いません。ただ表現の自由とは、自由という名前にも関わらず不自由も強います。

年末に偉そうなことを書きましたが、たまに沸騰して文句を書き散らす自分がどこまで表現の自由を尊重しているかと言われると、自信がありません。このブログでは、少なくとも芝居の感想は、自腹で木戸銭を払った人間として書いてきました。零細ブログと言えども、その線だけは守りたいです。

2022年3月14日 (月)

小田尚稔の演劇「是でいいのだ」三鷹SCOOL

<2022年3月12日(土)夜>

東日本大震災が起きた日の新宿駅近く。就職活動をしていた女子学生は面接が中止になった挙句に電車が止まって家まで歩いてかえる羽目になる。喫茶店で離婚届の書類を書いていた女性は埼玉に帰れずに公園で休んでいたところを、寝過ごして地震に気がつかず中野からやってきた学生に声を掛けられてカラオケボックスで休む。スマートフォンの調子が悪い会社員は仕事で六本木に来ている最中に地震に遭う。新宿の本屋で働く女性は入社2年目にして仕事に疑問を抱く。その日の話と、だいぶ経ってからの日の話。

上演自体は今回で6回目(2016年初演で、2018年から毎年この時期)のはず。自分は2018年版2019年版を観ていた。過去2回と比べて、就職活動をしていた女子学生の話と、本屋で働く女性の話、スマートフォンの調子が悪い会社員の話はほとんど変わっていない。けど、今回は離婚届の女性と学生との話が妙に比重が多い印象。そのおかげで芝居全体にようやく納得がいった。

過去に観た回になかった演出として、YouTubeとサッカーだけが興味の学生を表現するのにサッカーをさせて、興味のないとき、あるいはどう振舞っていいかわからないときにユースという(内面の自分)役を登場させて相手そっちのけで(脳内)サッカーを始めてしまうという場面が何度も追加されていた。これが補助線として、観ているこちらが痛くなるほど有効に効いていた。ずうっと、相手よりコンテンツのほうに興味があったんだってのがよくわかった。

最後、ユースと髪型を整えるのと、女性に振られた帰り道にYouTubeでいつも観ていた大食いの芸能人と会って思わず声を掛けるところ。振られたとはいえ、コンテンツ内の登場人物から実在の他人へと興味が広がったこと。あの瞬間に「是でよかったのかも」が成立していた。

それと離婚届の女性。森ビルの屋上でこのあとどうするって訊いたときの雰囲気が素晴らしかった。震災の晩からフラットだったわけではなく、天秤の揺れるタイミングもあったんだというのがよくわかった。そこを経たから、謝る夫を許した(あるいはこれでも上等なほうだと認識した)展開に納得いった。こちらの夫も妻への気配りが今一つだったのを認めて謝って、復縁した2人に「是でいいのだ」が成立していた。

本屋で働く女性は退職して教員試験を受けることを選んだ選択を「是でよかったのかな」と悩む。けれど、選んだ選択肢を正解にするために努力しようとしているところに「是でいいのだ」が成立していた。

そして自己評価の低さに悩んでいた就職活動の女子学生は、一念発起した徒歩での帰宅にくじけそうになるところ、被災地の親と連絡がついて元気を取り戻す。このあと何とか帰宅したであろうと想像できる最後で終わって「是でいいのだ」が成立していた。

震災から翌年の年末まで、あるいは震災の年末、あるいは震災の晩、タイムスパンはそれぞれ違うけど、震災をきっかけに何かが動いて、それぞれがそれぞれなりの「是でいいのだ」と言えるところに落着く展開。いちゃもんをつけるなら、震災をダシにしたと言えなくもない。でも、よほどのことがないと人間そうそう変わることはできないところに震災というよほどの出来事があった、震災ですら変われない人が大勢いる中で変われたような登場人物を称えたい、というのが私個人の印象。そこはもう「是でいいのだ」と言うのがふさわしい。

過去に本作別作含めて出演経験のある役者が多かったおかげで、芝居全体の安定度は高かった。1人挙げるなら離婚届の女性役は鈴木睦海であっているかな、本作唯一、複数人(といっても2人だけど)と絡む役だからもともと目立つのだけど、そこをきっちり演じていた。あと客入れと音響と一部照明をしながらユース役をやったのは福島慎太かな。出ずっぱりなのも含めてずいぶん無茶な役どころをこなしたことに敬意を表したい。

理解があっているか間違っているかはどうでもよくて、自分としてもこの芝居にようやく納得がいったので、この芝居は「是でいいのだ」としたい。

加藤健一事務所「サンシャイン・ボーイズ」下北沢本多劇場

<2022年3月12日(土)昼>

長年コンビを組んで一世を風靡したが、解散してしまったコメディコンビのウィリーとアル。ウィリーはニューヨークの安ホテル住まいをしながら現役を続けているつもりだが、たまに来るオーディションもモノにできず甥の世話で暮らしている。そこにきたのがコメディの歴史を振返るテレビ番組の企画。破格のギャラを提示されるもアルとのコンビ再開が嫌で断るウィリー。そこを甥になだめられて企画を承諾したのだが、稽古の顔合わせから衝突を繰返す。

前提としてベテラン役者を充てることが要求される芝居で、加藤健一のウィリーと佐藤B作のアルはその条件を満たした2人。そのうえでコメディだから素直に楽しめばいいところ、いろいろ考えさせられた。

まずテンポ。海外コメディの、初演が1972年だから50年前(そこからさらに54年前がコンビ結成時期)という設定。古い時代とはいえ、ゆったりと話を運んで休憩を挟んで2時間半は長い。日本ならコント55号や横山やすし西川きよしが活躍していた時代。その時代の芝居なら、日常部分の芝居ももう少し早くしてもいけるはず。その場合、そこからさらに古い時代に演じられたという設定の劇中コメディとのテンポ合わせが問題になるけど、それも含めてテンポは演出がなんとかしてほしかった。

次に劇中劇。診察室を舞台に医者と税理士とのやり取りがメインだけど、その導入に看護婦が出てきてお色気ネタをやる。劇中の設定では戦前のネタだから悪いことはないし、そもそも本ネタ導入前の準備運動みたいなものだから大したネタではないのだけど、これが今のご時世では舞台ですらスレスレに見える。自分がテアトル・エコー版を観たのはたしか2002年で、その時は別に何とも思わなかったし、なんなら志村けんがテレビでお色気ネタをやっていた。だからって省略しろというわけではない。ここ数年、せいぜいここ10年の間に、ものすごい勢いで世の中の「清潔化」が進んでいるのだと気がつかされた。

そして主演の2人。加藤健一の演技がバタ臭いのは前と同じだけど、そこじゃない。何か役が生きていない。対照的なのが佐藤B作で、あのゆったりとしたテンポの中でもきっちり笑いを取ってくるし、芝居全体を通して加藤健一よりずっと自然に見えた。笑いはさておき、役作りで何が違うのか考えたけどわからない。無理やり言葉にすると、加藤健一は自分を脚本に寄せていて、佐藤B作は脚本を自分に寄せていた。あるいは、加藤健一は脚本から自分の役の内面を抽出して内に向かって役作りしていたけど、佐藤B作は脚本から相手役との関係性を抽出して外に向かって役作りをしていた。これであっているかはわからないけど、今回の芝居は佐藤B作に軍配を上げる。

最後に客席。最後列とその脇を除いてほぼ埋まっていたけど、ざっと眺めた限り、これが昼の下北沢かという高い年齢層だった。自分ですら若いほうから数えて一割に入っている自信があった。晩年のコメディアンが主演の演目だから、年齢が高いほうが面白味は増すかもしれないけど、若い人だって笑えるネタだし、伏線を張ってのネタもある王道のコメディのはずなのにこれ。若者人口は減っているし若者も忙しくて金もないしで難しく、既存の観客は年を取るものであり、自分もそちらの枠に片足突っ込んでいるんだなと認識させられた。

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